クイックスタート
このガイドでは、MeasureLab を使って最初の測定を行うまでの流れを説明します。
ハードウェアの準備
測定を始める前に、まずは 「正しく音が録れているか」 を確認するための準備をしましょう。
- ケーブルの接続: オーディオインターフェースの 出力 (Output) と 入力 (Input) をケーブルで直接つなぎます(これをループバック接続と呼びます)。
- 機材の保護: 最初はオーディオインターフェースの出力ボリューム(OUT)と入力ゲイン(IN)を最小にしておいてください。
Note
このループバック接続を使うことで、外部機器を使わずに「自分が出した音を自分で解析する」テストができます。これが全ての測定の基本となります。
ソフトウェアを起動する
MeasureLab は Windows および Linux で動作します。 Releases ページから、お使いの OS に合わせた最新バージョンをダウンロードしてください。
Windows の場合
MeasureLab-<version>-windows-x64-onefile.zip(またはonedir.zip)をダウンロードします。- ZIP ファイルを解凍します。
- フォルダ内の
MeasureLab.exeをダブルクリックして実行します。
Linux の場合
MeasureLab-<version>-linux-x86_64.AppImageをダウンロードします。- ファイルに実行権限を付与します。
- そのまま実行します。
macOS の場合 (Apple Silicon / Intel)
- Apple Silicon の場合は
MeasureLab-<version>-macos-arm64.dmg、Intel Mac の場合はMeasureLab-<version>-macos-x64.dmgをダウンロードします。 - ゲートキーパーの回避:
- 初回起動時は、そのまま開こうとすると「開発元が未確認のため開けません」と表示される場合があります。
- アプリを 「右クリック(または Control + クリック)して『開く』を選択」 してください。
- 確認ダイアログが表示されるので、再度 「開く」 をクリックすると起動します。
- それでも「開く」オプションが表示されない場合:
- 「システム設定」>「プライバシーとセキュリティ」 を開きます。下にスクロールして「MeasureLab.appは...」というメッセージを見つけ、「このまま開く」 をクリックします。
- または、ターミナルから手動で隔離フラグを解除することもできます:
xattr -d com.apple.quarantine /path/to/MeasureLab.app(アプリアイコンをターミナルウィンドウにドラッグ&ドロップするとパスを入力できます)。
Important
初回起動時の注意:FFT 最適化 (WISDOM)
初回起動時、測定の計算を高速化するための準備(WISDOMの生成)が行われます。 - 数十秒ほど画面が止まったようになることがありますが、故障ではありません。 重たい計算を裏で行っています。 - 次回以降はキャッシュが使われるため、一瞬で起動するようになります。
UIの表示設定
Settings ウィジットでは、使いやすいように UI の言語や配色を変更できます。
言語設定
デフォルトでは英語になっている場合があります。 Languages コンボボックスから Japanese を選択すると、インターフェースが日本語に切り替わります。
テーマ設定
環境や好みに合わせて配色を変更できます。 Themes コンボボックスから選択してください。
- Dark: 暗い場所でも目に優しいダークモード(推奨)
- Light: 明るい表示
- System: OS の設定に追従
サウンドデバイスの設定
起動したら、まずはオーディオ入出力の設定を行います。 左側のメニューから Settings ウィジット(歯車アイコン)を開いてください。
Windows の場合
デバイスリストから使用するオーディオインターフェースなどを選択します。
- ASIO: オーディオインターフェース専用のドライバがある場合は、これを選択するのが最も安定します。
- WASAPI: 専用ドライバがない場合や、Windows 標準の機能を使う場合の推奨設定です。
- MME / DirectSound: 遅延が大きく、測定にはあまり向きません。
Linux の場合
Linux 環境で高精度な測定を行う場合、JACK または PipeWire の使用を強く推奨します。
jackまたはpipewireデバイスを選択します。- 「Jack/Pipewire mode」 のチェックを ON にしてください。
- これを忘れると、測定データが途切れ途切れになり、正確な解析ができなくなる場合があります。
入出力とサンプリング設定の推奨
- 入出力チャンネル (Input/Output)
- 基本的にはデフォルトのまま Stereo (2ch) を選択してください。
- サンプリングレート (Sampling Rate)
- PC のスペックが許す限り、192kHz などの高いレート(ハイレゾ設定)を選択することをお勧めします。
- バッファサイズ (Buffer Size / Buffer Optimization)
- 「長時間(STABLE 以上)」に設定することを強く推奨します。
- 本ソフトウェアは「測定用」のため、レイテンシー(遅延)よりも、データの安定性を優先してください。
Tip
ディザリング (Dithering) の活用
16-bit などの低いビット深度で出力する場合や、極めて低い歪み (THD+N) を測定する場合は、Settings の Audio タブで Dithering を有効にしてください。量子化歪みをノイズに変えることで、微小信号の直線性を改善できます。
最初の測定 (Hello Loopback!)
設定が終わったら、実際に音を出してグラフを見てみましょう。
手順 A: 信号を出す
- 左メニューから Signal Generator を開きます。
Frequencyを1000 Hz(1kHz) に設定します。Outputボタンを押し、インターフェースのボリュームを少しずつ上げます。
手順 B: グラフで見る
- 左メニューから Spectrum Analyzer を開きます。
- インターフェースの入力ゲインを上げ、画面に 「1000Hz の鋭い山」 が現れるのを確認してください。
- 山が見えたら成功です! これで、あなたの PC は立派な測定器として機能し始めました。
オーディオインターフェースがない場合 (仮想モード)
オーディオインターフェースをお持ちでない場合や、ハードウェアを使わずに既存のオーディオファイルを解析したい場合は、Virtual / Offline Mode (仮想モード) を使用できます。
- Settings (歯車アイコン) > Audio タブ > Driver 欄へ移動します。
- Virtual / Offline Mode にチェックを入れます。
- Simulation Rate で希望のサンプリングレートを設定します。
- 24bit/192kHz などの高品位なオーディオファイルを解析する場合は、Simulation Rate をそのファイルのサンプリングレートに合わせることで、ダウンサンプリングによる劣化なしに解析できます。
このモードでは、Player ウィジットでオーディオファイルを読み込んだり、内部で信号を生成したりすることで、実機と同じようにアナライザーで解析を行うことができます。
次のステップ
基本操作に慣れたら、より詳細なガイドに進みましょう。
- 正確な電圧や音圧を測りたい → キャリブレーション
- どのツールを使えばいいか迷ったら → ウィジットガイド
- 実際の測り方を知りたい → 測定レシピ
- 波形を直接見たい → Oscilloscope