Lock-in THD+N Analyzer (超低歪みロックイン測定)

概要
Lock-in THD Analyzer は、特定の周波数の基本波成分だけを極めて高精度に「ロックイン検出」して除去し、残った「歪み率 (THD+N)」 を測定するためのウィジットです。
通常の FFT アナライザよりも基本波除去性能が高く、アンプや DAC の微小な歪みを正確に評価できます。
測定の仕組み
このウィジットは「ロックインアンプ」の技術を応用して、以下のように THD+N を算出しています。
- ロックイン検出: 内部で生成した正弦波(例: 1kHz)と入力を同期検波し、基本波の「振幅」と「位相」を精密に測定します。
- 除去 (Notch): 測定した基本波成分と同じ波形を合成し、元の信号から引き算します。
- 残留成分 (Residual): 引き算で残った信号(高調波歪み+ノイズ)の量を測ります。
- 計算: で THD+N を算出します。
操作方法
基本設定
左側のパネルで測定条件を設定します。
- Frequency: 測定周波数。通常は
1000 Hzです。 - Amplitude: 出力レベル。測定対象の定格入力に合わせます。
- Averages: 測定精度の安定性を高めるための平均化回数です。
フィルター設定
THD+N 測定において最も重要な設定の一つです。不要な帯域のノイズをカットして、純粋なオーディオ性能を評価するために使います。
- HPF (Hz): ハイパスフィルタ。
- 20 Hz: 直流 (DC) オフセットや超低域のゆらぎを除去します。通常はこれを使います。
- LPF (Hz): ローパスフィルタ。測定帯域の上限を決めます。
- 20000 Hz: 可聴域内 (20kHz以下) の歪みだけを測る場合の標準設定 (AES17準拠など)。
- 80000 Hz以上: ハイレゾ機器の高周波ノイズも含めて評価する場合。
結果の見方
- THD+N: 全高調波歪率+ノイズ。値が小さいほど高性能です。
- -60dB (0.1%): 一般的なオーディオ機器
- -80dB (0.01%): 高音質
- -100dB (0.001%): プロ用・ハイエンド級
- Fundamental: ロックイン検出された基本波の電圧。
- Residual RMS: 歪みとノイズの合計電圧。
グラフの説明
- Waveform:
- Cyan: 入力波形。
- Red: 残留成分 (Residual) を10倍に拡大したもの。これが平らな直線に近いほど歪みが少ないことを示します。波打っている場合は高調波歪み、ギザギザしている場合はノイズが支配的です。
- Residual: 残留成分レベルの時間変化。
- Spectrum: 残留成分の周波数分析。基本波 (1kHz) がきれいに除去され、2次 (2k), 3次 (3k) 歪みが見やすくなっています。