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Noise Profiler (ノイズ統計解析)

Noise Profiler

概要

入力信号に含まれる「ノイズ」の成分を詳細に分析・特性化するツールです。 単にスペクトラムを表示するだけでなく、ノイズを以下の要素に分解して定量化します。

  1. ホワイトノイズ (White Noise): 全周波数に均等に分布する「サー」というノイズ。
  2. 1/fノイズ (Flicker Noise): 低周波になるほど強くなる「ゆらぎ」ノイズ。
  3. ハムノイズ (Hum): 電源由来の「ブーン」という50Hz/60Hzおよびその倍音成分。

また、温度とインピーダンス設定に基づき、物理的な限界値である「熱雑音 (Thermal Noise)」のラインを表示し、測定系の性能限界と比較することができます。 アンプやマイクプリアンプの低ノイズ性能評価や、回路のノイズ源特定に最適です。

操作方法

測定の開始と停止

  • Start Profiling / Stop Profiling ボタン: ノイズの解析を開始・停止します。

画面の見方

Noise Spectrum (中央グラフ)

周波数ごとのノイズ密度を表示するグラフです。横軸・縦軸ともにログスケール(対数)で表示されます。

  • 黄色 (PSD): 実際の入力信号のノイズ密度スペクトラム。
  • 赤色破線 (1/f Fit): 低域の傾きから計算された 1/f ノイズの推定ライン。
  • 緑色点線 (White Floor): 中高域の平坦な部分から推定されたホワイトノイズレベル。
  • 水色の点 (Hum): 自動検出されたハムノイズ(電源ノイズ)のピーク。
  • マゼンタ色一点鎖線 (Thermal Limit): 設定された温度と抵抗値における、理論上の熱雑音レベル(これより下には物理的に下がりません)。

Noise Contribution (下部バーグラフ)

全体のノイズ電力のうち、どの成分が支配的かを表示する帯グラフです。

  • Cyan (Hum): ハムノイズの割合
  • Green (White): ホワイトノイズの割合
  • Red (1/f): 1/fノイズの割合
  • Purple (Other): その他(分類できなかった成分)

Noise Report (右側パネル)

解析結果を数値で表示します。

  • Total Noise RMS: 可聴帯域 (20Hz-20kHz) の総ノイズ量。
  • White Density: 1Hzあたりのホワイトノイズ電圧密度 (例: nV/√Hz)。
  • Corner Freq: 1/fノイズとホワイトノイズが交差する周波数。

設定項目

画面左側のタブで詳細設定を行います。

Measurement (測定設定)

Average Mode

ノイズ測定はランダムな変動を含むため、平均化することで真の値が見えてきます。

  • Enable Averaging: 平均化処理を有効にします。
  • Count: 平均化する回数です。数が多いほどグラフが滑らかになり、微小なノイズが見えやすくなります(通常は100~1000回推奨)。
  • Reset Average: 平均化をリセットし、最初から測定し直します。

LNA / Input Settings

外部プリアンプ(LNA: Low Noise Amplifier)を使用する場合や、熱雑音の基準を設定します。

  • Pre-Amp Gain: 使用している外部プリアンプのゲイン (dB) を入力します。
  • Apply to Plot: これをチェックすると、グラフの表示からプリアンプのゲイン分を差し引きます(入力換算ノイズとして表示されます)。プリアンプ自体の性能を測る場合に便利です。
  • Temperature: 測定環境の温度(℃)。熱雑音の計算に使用します。
  • Input Z: 信号源のインピーダンス(Ω)。例えばマイクなら150Ω~600Ω、ライン入力なら数kΩなど。これに応じた熱雑音レベルが計算されます。

Display (表示設定)

Units

  • dBV/√Hz: 1Vを基準としたデシベル表示。
  • dBu/√Hz: 0.775Vを基準としたデシベル表示。
  • dBFS/√Hz: デジタルフルスケールを基準とした表示。

Display Options

  • Show as Resistance (Ω):
    • ノイズレベルを「そのノイズ電圧を発生させる等価抵抗値」に換算して表示します。
    • 「このアンプのノイズは50Ωの抵抗と同じくらい静かだ」といった評価をする際に使用します。
  • Show Thermal Limit: 熱雑音の理論限界線を表示します。

使用例

マイクプリアンプの自己ノイズ測定

自作や既製品のマイクプリアンプがどれくらい低ノイズかを確認します。

  1. プリアンプの入力をショート(またはダミー抵抗を接続)し、出力をMeasureLabに入力します。
  2. Average Mode を有効にし、Countを 1000 程度にします。
  3. しばらく待ち、グラフが安定するのを見ます。
  4. Measurement タブでプリアンプのゲインを入力し、Apply to Plot をチェックします。
  5. 表示された White Density (例: 4 nV/√Hz) がプリアンプの入力換算雑音性能です。

電源ノイズの評価

回路の電源ラインにハムノイズが乗っていないか確認します。

  1. Noise Contribution バーグラフを見ます。
  2. Cyan (Hum) の割合が多い場合、電源のリップル除去不足や、グラウンドループの可能性があります。
  3. グラフ上の水色の点を見て、50Hz/60Hzの基本波が強いのか、高調波(100Hz/120Hzなど)が強いのかを分析します。

抵抗器の熱雑音観測 (実験)

物理実験として、抵抗器から発生する熱雑音を実際に測ってみます。

  1. 高ゲインの低ノイズアンプを通して抵抗器のノイズを入力します。
  2. Measurement タブで Input Z にその抵抗値を入力します。
  3. グラフの実測値 (黄色) が、理論値である Thermal Limit (マゼンタ色) と一致するか確認します。