クイックスタート
概要
このガイドでは、MeasureLab を使って最初の測定を行うまでの流れを説明します。
ハードウェアの準備
測定を始める前に、まずは 「正しく音が録れているか」 を確認するための準備をしましょう。
- ケーブルの接続: オーディオインターフェースの 出力 (Output) と 入力 (Input) をケーブルで直接接続します。これを「ループバック接続」と呼びます。
- 機材の保護: 大きな音が急に出て機材が壊れないよう、最初はオーディオインターフェースの出力ボリューム(OUT)と入力ゲイン(IN)を「最小(ゼロ)」にしておいてください。
ループバック接続を使うことで、PCとオーディオインターフェース間の基本的な入出力が正常に動作しているかテストし、設定の誤りや機材トラブルの要因を切り分けることができます。
ソフトウェアを起動する
MeasureLab は Windows および Linux で動作します。 Releases ページから、お使いの OS に合わせたPython最終版 v0.9.1をダウンロードしてください。
Windows
- Windows 10 / 11(x64)用の
MeasureLab-<version>-windows-x64-setup.exeをダウンロードします。 - インストーラーを実行します。管理者権限は不要で、既定では現在のユーザーの
%LOCALAPPDATA%\Programs\MeasureLabにインストールされます。 - スタートメニューから MeasureLab を起動します。デスクトップショートカットはインストール時に選択できます。
更新時は MeasureLab を終了し、新しいインストーラーを実行してください。同じインストール先が使われ、%APPDATA%\MeasureLab の設定・校正データは保持されます。削除は 設定 > アプリ から行います。アンインストールしても、ユーザー設定・校正データ・保存したスクリーンショットは残ります。
フォルダー形式のZIP版(MeasureLab-<version>-windows-x64-onedir.zip)も引き続き利用できます。全体を展開して MeasureLab.exe を実行してください。過去のリリースではZIP版のみの場合があります。
ZIP版から移行する場合、%APPDATA%\MeasureLab にある設定は引き継がれます。旧ZIPフォルダーにポータブル設定の config.json がある場合は、バックアップしてから、MeasureLab を終了した状態で新しいインストール先にコピーしてください。設定・校正・保存した測定結果を確認するまで旧フォルダーは残してください。旧実行ファイルの隣に保存したファイルは自動移動しません。
ASIO対応は実験的な機能で、既定では無効です。必要なASIOドライバーを別途導入したうえで、インストール時に「実験的なASIO対応を有効にする」を選択できます。この選択は更新時にも再利用されます。インストール先には手動切替用スクリプトも同梱されます。詳細は同フォルダーの README_ASIO.txt を参照してください。
現在のインストーラーにはWindows Authenticode署名がないため、SmartScreenの警告が表示される場合があります。リリースの .sigstore.json とSHA-256チェックサムは配布物を別途検証するためのもので、Windowsのコード署名を代替しません。
Linux
MeasureLab-<version>-linux-x86_64.AppImageをダウンロードします。- ファイルに実行権限を付与します。
- そのまま実行します。
macOS
- Apple Silicon の場合は
MeasureLab-<version>-macos-arm64.dmg、Intel Mac の場合はMeasureLab-<version>-macos-x64.dmgをダウンロードします。 - ゲートキーパーの回避:
- 初回起動時は、そのまま開こうとすると「開発元が未確認のため開けません」と表示される場合があります。
- アプリを 「右クリック(または Control + クリック)して『開く』を選択」 してください。
- 確認ダイアログが表示されるので、再度 「開く」 をクリックすると起動します。
- それでも「開く」オプションが表示されない場合:
- 「システム設定」>「プライバシーとセキュリティ」 を開きます。下にスクロールして「MeasureLab.appは...」というメッセージを見つけ、「このまま開く」 をクリックします。
- または、ターミナルから手動で隔離フラグを解除することもできます:
xattr -d com.apple.quarantine /path/to/MeasureLab.app(アプリアイコンをターミナルウィンドウにドラッグ&ドロップするとパスを入力できます)。
初回起動時(FFT 最適化について): 初回起動時、測定の計算を高速化するための準備(WISDOMの生成)が行われます。数十秒ほど画面が止まったようになることがありますが、異常ではありません。次回以降はキャッシュが使われ、すぐに起動します。
UIの表示設定
Settings ウィジェットでは、使いやすいように UI の言語や配色を変更できます。
言語設定
デフォルトでは英語になっている場合があります。 Languages コンボボックスから Japanese を選択すると、インターフェースが日本語に切り替わります。
テーマ設定
環境や好みに合わせて配色を変更できます。 Themes コンボボックスから選択してください。
- Dark: 暗い場所でも目に優しいダークモード(推奨)
- Light: 明るい表示
- System: OS の設定に追従
サウンドデバイスの設定
起動したら、まずはオーディオ入出力の設定を行います。 左側のメニューから Settings ウィジェット(歯車アイコン)を開いてください。
Windows
デバイスリストから使用するオーディオインターフェースなどを選択します。
- ASIO: オーディオインターフェース専用のドライバがある場合は、これを選択するのが最も安定します。
- WASAPI: 専用ドライバがない場合や、Windows 標準の機能を使う場合の推奨設定です。
- MME / DirectSound: 遅延が大きく、測定にはあまり向きません。
Linux
Linux 環境で高精度な測定を行う場合、JACK または PipeWire の使用を強く推奨します。
jackまたはpipewireデバイスを選択します。- 「Jack/Pipewire mode」 のチェックを ON にしてください。
- これを忘れると、測定データが途切れ途切れになり、正確な解析ができなくなる場合があります。
入出力とサンプリング設定の推奨
- 入出力チャンネル (Input/Output)
- 基本的にはデフォルトのまま Stereo (2ch) を選択してください。
- サンプリングレート (Sampling Rate)
- 録音する音の「細かさ」です。数値が大きいほど高精細になります。PC のスペックが許す限り、192kHz などの高いレート(ハイレゾ設定)を選択することをお勧めします。
- バッファサイズ (Buffer Size / Buffer Optimization)
- 音声データを一時的に保持するバッファのサイズです。
- 「長時間(STABLE 以上)」に設定することを強く推奨します。
- 音楽制作等とは異なり、測定においてはレイテンシー(遅延)よりもデータ処理の安定性が優先されるためです。
ディザリング (Dithering) の活用
16-bit などの低いビット深度で出力する場合や、極めて低い歪み (THD+N) を測定する場合は、Settings の Audio タブで Dithering を有効にしてください。量子化歪みをノイズに変えることで、微小信号の直線性を改善できます。
最初の測定 (ループバックテスト)
設定が終わったら、実際に音を出してグラフを見てみましょう。
手順 A: 信号を出す
- 左メニューから Signal Generator を開きます。
Frequencyを1000 Hz(1kHz) に設定します。Outputボタンを押し、インターフェースのボリュームを少しずつ上げます。
手順 B: グラフで見る
- 左メニューから Spectrum Analyzer を開きます。
- インターフェースの入力ゲインを上げ、画面に 「1000Hz の鋭い山」 が現れるのを確認してください。
- 1000Hzのピークが表示されれば正常に動作しています。
オーディオインターフェースがない場合 (仮想モード)
オーディオインターフェースをお持ちでない場合や、ハードウェアを使わずに既存のオーディオファイルを解析したい場合は、Virtual / Offline Mode (仮想モード) を使用できます。
- Settings (歯車アイコン) > Audio タブ > Driver 欄へ移動します。
- Virtual / Offline Mode にチェックを入れます。
- Simulation Rate で希望のサンプリングレートを設定します。
- 24bit/192kHz などの高品位なオーディオファイルを解析する場合は、Simulation Rate をそのファイルのサンプリングレートに合わせることで、ダウンサンプリングによる劣化なしに解析できます。
このモードでは、Player ウィジェットでオーディオファイルを読み込んだり、内部で信号を生成したりすることで、実機と同じようにアナライザーで解析を行うことができます。
次のステップ
基本操作に慣れたら、より詳細なガイドに進みましょう。
- 正確な電圧や音圧を測りたい → キャリブレーション
- どのツールを使えばいいか迷ったら → ウィジェットガイド
- 実際の測り方を知りたい → 測定レシピ
- 波形を直接見たい → Oscilloscope