Ultrasound Modulator (超音波モジュレーター)

概要
Ultrasound Modulator(超音波モジュレーター)は、可聴域のオーディオ信号を振幅変調(AM)し、超音波リファレンススピーカー(40kHz中心)などで再生可能な信号に変換するためのウィジェットです。
人間の可聴域を超える超音波(搬送波)に可聴域信号を振幅変調して放射すると、空気の非線形性により空中で可聴域の音が自己復調されます。本モジュールは、このような特定の狭い範囲にのみ音を届ける「パラメトリックスピーカー」の実験や、超音波帯域での音響計測に使用されます。
主な特徴:
- リアルタイムAM変調: 入力信号を用いて搬送波(デフォルト40kHz)を振幅変調します。
- 安全機能: 実出力状態、ルーティング、搬送波条件、校正状態を常時表示し、無効信号と0 dBFS超過をラッチして警告します。
- 柔軟なルーティング: 入出力チャンネル(L/R/Stereo)を自由に選択可能です。
- プレディストーション: 変調による歪みを低減するための平方根処理をサポートしています。
基本操作
変調の開始と停止
画面上部の 「Start Modulation」 ボタンをクリックすると変調処理が開始されます。出力中は同じ位置が 「Stop Modulation」 に変わるため、どのタブからでも停止できます。
上部の状態領域には、停止中、使用不可、超音波出力中、パススルー出力中、出力制限中などの実状態が表示されます。入力から出力へのルーティング、搬送波周波数と方式、出力校正の有無もタブに隠れず常時確認できます。
[!WARNING] 超音波は可聴域外ですが、高出力で再生すると聴覚やペットに影響を与える可能性があります。必ず低いゲインから開始し、適切な保護具を使用してください。開始時に安全確認のダイアログが表示されます。
現在のサンプルレートで搬送波または側波帯がナイキスト周波数を超える場合、状態は 「UNAVAILABLE」 となり、開始ボタンが無効になります。表示された理由に従ってサンプルレート、搬送波周波数、またはAudio LPFを調整してください。デフォルトの40 kHz搬送波と8 kHz帯域には、96 kHzを超えるサンプルレートが必要です。
パラメータ設定
「Modulation」 タブで信号処理のパラメータを設定します。
- Input Gain: 入力信号のゲインを調整します。入力レベルメーターを見ながら、クリップしない範囲で適切なレベルに設定してください。
- Carrier Freq: 搬送波の周波数です。通常は使用する超音波トランスデューサの共振周波数(例: 40000Hz)に合わせます。
- Audio LPF: 変調前のオーディオ信号に適用するローパスフィルタのカットオフ周波数です。側波帯が帯域制限を超えないように調整します。
- Mod. Depth (k): 変調度(0.0 〜 1.0)。1.0で100%変調となります。
- Output Gain: 変調後の出力ゲインです。安全のため、慎重に操作してください。
- Carrier Mode: 変調方式を選択します。
- DSB (AM): 通常の振幅変調(両側波帯)です。
- USB: 上側波帯(Upper Sideband)のみを変調します。
- LSB: 下側波帯(Lower Sideband)のみを変調します。
ルーティングと設定
「Settings」 タブで入出力の設定を行います。
Input/Output Channel
入力ソースと出力先を選択します。
- L / R: モノラルとして処理します。
- Stereo: ステレオ信号として処理します(キャリアは左右同位相です)。
Advanced Options
-
Enable √ Pre-distortion: 振幅変調の復調時に生じる歪みを補正するため、信号にあらかじめ平方根処理()を適用します。パラメトリックスピーカー等で、自己復調時の歪みを低減したい場合に有効です。
-
Bypass Modulation: 変調を行わず、入力信号をそのまま出力します(ゲインは適用されます)。設定確認やスルー出力に使用します。
シグナルメーター
画面右側の 「Output Monitor」 に、入力と出力のRMSレベルがdBFS単位で表示されます。信号が適切に入力されているか、出力がサチュレーションしていないかを確認できます。
- Input RMS: 入力ゲイン適用後、変調前のオーディオ信号レベル。
- Output RMS: 出力制限適用後の信号レベル。
出力が0 dBFSを超えた場合はデジタルフルスケール内へ制限され、警告がラッチされます。ゲインを下げてから 「Clear Peak」 で警告をクリアしてください。未校正時の表示は相対レベルであり、トランスデューサの物理音圧や電圧を示すものではありません。